〜インプラント審美の確立とインプラント治療におけるデジタル化への発展〜 

さる2013年3月7日から9日までの3日間、フロリダ州タンパ(米国)で開催されたAcademy of Osseointegran(AO)第28回総会に参加してきた。参加総数は約2,500名、日本からは約100名の参加であった。
総会テーマは"Moving Forward: Evidence, Experience, Excellence"で、口演はSurgical Track~外科、Restorative Track~補綴に分けて行われ、ともにインプラント審美、インプラント治療のデジタル化についての発表が多く、外科はガイディッドサージェリー、補綴はデジタル印象、CAD/CAM補綴が今年のテーマのようである。

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【インプラント審美】(佐藤道子先生)
Stephen Chen、Jeseph Kan両氏の発表が印象的であった。
Dr.Chen(豪州メルボルン大学)はインプラント審美に重要な因子であるWES(White Esthetic Score)、PES(Pink Esthetic Score)に関するここ10年の論文10数編をレビューし、近遠心的歯間乳頭の点数が低い(2点満点で1.5点以下、特に遠心が低い)ことを挙げ、抜歯直後にフラップレス法を用いても近遠心の歯肉を維持するのは困難であることを自身の症例で提示された。また、唇側のcontourは骨増生をした場合が高い値を示すため(骨増生なし:骨増生=1.4:1.6)、インプラント-アバットメント接合部を越える骨増生の必要性を示した。
Dr.Joseph Kan(米国ロマリンダ大学)は10年以上審美部位へのフラップレス埋入を行っているが、10年後に起こった失敗症例を含めた臨床経験より束状骨外側への骨移植、結合組織移植、platform shiftingタイプに対するインプラント使用を成功の鍵であるとした。

【インプラント治療のデジタル化】(田中裕子先生)
German Gallucci(米国ハーバード大学)、Ronald Jung(スイスチューリッヒ大学)、Brody Hildebrand(米国ダラス開業)3氏の発表が印象的であった。
Dr. Gallucci(米国ハーバード大学)はプランニング、インプラント埋入、口腔内デジタル印象、CAD/CAM補綴といったインプラント治療において高いレベルでデジタル化を実践していた。用いているStraumann CARES Guided Surgery Systemの精度に関する研究、無歯顎におけるミニインプラントの活用、デジタル印象に関する精度検証などで高精度なインプラント治療を実現していた。
Ronald Jung(スイスチューリッヒ大学)、Brody Hildebrand(米国ダラス開業)はでインプラント治療のデジタル化に関して、デジタルとアナログの比較を工程の数、インプラント生存率、各種の治療精度、患者満足度、コストの面から比較し、デジタルの優位性とラーニングカーブについて言及した。今後は歯科治療のデジタル化が進むと考えられるが、患者幸福に恩恵のあるデジタル化にする歯科医師の研鑽が必要であると強く感じた。

【インプラント外科】(上浦庸司先生)

photo02.jpg勝山先生、Robert Miller氏の発表が印象的であった。
勝山英明先生の演題は"Managing the Complex Maxillary Arch"として口演、Solution of Compromised Situations in Posterior Maxillaとしてテーブルクリニックがあった。昨年発刊となったITI Treatment Guide Vol.5の内容に自身の臨床例を繊細のビデオを用いて解説し、聴衆は圧倒されていた。
他の外科の先生の内容、ご加筆くださいませ。
Robert Miller氏(米国フロリダ開業)が"賦形性に優れる液体メンブレン"や"ナロータイプでレギュラータイプ同等の強度を有するチタンジルコニア合金のロキソリッド"(ともにストローマン社製)の臨床例を提示していたのが興味深かった。日本への早期導入が待たれるところである。

 

 【本ミーティングのまとめ】

1990年代からのテーマであった前歯インプラントに対する中長期の審美的評価(ピンクエステティックスコア)により、審美インプラントを確実に行う方法が確立してきた。一方、昨今のテーマであるインプラント治療のデジタル化についてはガイデッドサージェリーの精度向上、デジタル印象を含めたフルデジタル化が今後の方向性であると考えられた。

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