学会報告  第43回日本口腔インプラント学会  福岡 2013年9月12日~15日

 (報告:力武康次先生、上浦庸司)

9月13日(金)

 

開会式:大会長(古谷野潔)、理事長(渡邉文彦)のあいさつ

表彰式

会務報告:各委員会委員長からの報告 

理事長講演:「今、学会が果たす役割」渡邉文彦

現在ならびに将来の様々な学会の取り組みについて紹介し、学会の執行部と学会会員とが同じ方向を向いてインプラント治療に関する共有したミッションを果たす必要があることを提言した。

 倫理委員会セミナー:「患者にとって誤解の生じない説明」若松陽子弁護士

インプラント治療において患者との関わりで注意すべき点を列挙し、医療において誤解を生じることのないように留意することの大切さを説き、医療側は説明と医療技術の向上、患者側は治療への理解と医療側の指示を守ることで力を合わせて体を守っていくことを示した。

 専門医教育講座:「こんな患者さんが来院したら‥」砂田勝久

インプラント治療を受ける対象に高齢者が多く、リスクをもっている可能性が高いことから①高血圧症②脳卒中③虚血性心疾患④喘息⑤糖尿病⑥骨粗鬆症について治療上の注意・対応方法を様々な基準を具体的に示しながら「異常時には酸素とモニター」との注意を喚起した。

 9月14日(土)

テーマシンポジウム①「リスクマネージメントから考える確実な外科治療」

1)「安全なインプラント外科治療のための局所解剖」後藤哲哉

インプラント治療において不可欠な解剖学的知識について、歯科の成書の記述において十分で出ない点がある。不測の事故を生じないため、事故が生じてしまった時の対応方法に関して必須の知識を再確認した。

2)「インプラント外科治療の全身的リスクファクター」楠川仁悟

前日の専門医教育講座に続き、特にBP製剤投与患者への対応について、ビスフォスフォネート関連顎骨壊死検討委員会のポジションペーパーに基づき、歯科における外科治療における休薬ガイドラインの説明をした。その中でBP製剤投与と全身的な複合的リスクファクターの関わりが提示された。

3)「安全なインプラント手術のための外科基本手技」河奈裕正

インプラント手術における外科基本手技において、ガウン着脱・清潔域への配慮・切開・剥離・縫合などについて細部にわたる具体的な注意を喚起する内容であった。

4)「安全で確実なインプラント治療のための骨造成」高橋哲

サイナスリフトにおける残存自家骨の高さの基準などを示し、文献的な検証を基に骨造成の必要性の可否も含めた具体的指標を提示した。

 

テーマシンポジウム②「歯周病とインプラントのマネージメントおよびPeri-implant diseaseの予防と対応」

1)「歯周炎に罹患した天然歯の保存とインプラント治療」長谷川嘉昭

開業医の立場から、歯周病患者に対して細菌検査などの臨床検査データを取得し、インプラント治療に通じる適切な治療を施すことで、SPTを含めた長期的な歯周病-インプラント管理ができることを症例を交えて提示した。

2)「歯周病とインプラント周囲病変のリスク因子」竹内康雄

大学で歯周病治療を行う立場から、インプラント治療に入る前の適切な歯周病治療の必要性を訴えた。また、天然歯における歯周病とPeri-implantitisにおける原因菌細菌叢の共通する点とそれ以外の因子が関与している可能性を提示した。

3)「Peri-implant diseaseのステージによるアプローチの違いと予防」関根秀志

大学でインプラント治療を行う立場から、インプラントの長期的な管理について、インプラント周囲組織の臨床的評価、Peri-implantitisの予防的プロトコールの必要性を提示した。

シンポジウムの総括においては座長の和泉・小田とともに、インプラント学会だけではなく、歯周病学会を含めた他学会とのコンセンサスを持ったメインテナンスプロトコール作成の必要性について将来的展望を含めて提言した。

以下、上浦庸司

口腔インプラント学会に参加してきました。
下記1-7について講演を聴いてきましたが、各パートについてまとめしだいアップいたします。
まず、最近話題のインプラント周囲炎の治療について"現在のところ、明確な指針がない"との報告が多かったように感じておりましたが、来年CIDセミナーで講演が予定されているSchwartz先生の話しは明確で明日からの臨床で応用できそうですので、この発表について報告いたします。



1.「リスクマネージメントから考える確実な外科治療」
2.「歯周病とインプラントのマネージメントおよび Peri-implant diseases の予防と対応」 
3. 「求められるインプラント補綴治療とは」
4.「より適切で確実なインプラント治療へ(総括)」  上記1-3の総括

5.「ドイツの先進的教育・研究を学ぶ Towards understanding education and advanced implant research in Germany」 
6.「インプラントの表面性状研究の最前線」 
7.「CT を用いたより適切で確実なインプラント治療:CT 画像解剖と難易度別治療の実際」 


5.「ドイツの先進的教育・研究を学ぶ Towards understanding education and advanced implant research in Germany」 

ドイツの先進的教育・研究を学ぶ
本セッションの目的はドイツにおけるインプラントに関しての先進的な取り組みを学ぶことです.まず,ド イツインプラント学会(DGI)が主導する「インプラント専門医の育成プログラム」の詳細と問題点について Dr. Iglhaut(DGI President)に講演していただきます.次いでその比較として,本学会の専門医育成の現状や問 題点について堀田先生(本学会常務理事,認定委員会委員長)に講演をいただきます.
これらの講演を通して,インプラントに対するドイツの先進的な取り組みとその成果を,日本の現状と比較しつつ具体的に学ぶことができます.

写真は下記にあります

http://ameblo.jp/kumazawa-shika/



Dr. Iglhaut:
MODILE1-10に分けて、講義、実習、ライブオペ見学、試験が行われる。
例えば、MODULE1は単独歯欠損に関する内容で、MODULE5になると
Augmentationというように難易度が上がっていく
記録をとるころが重要で、私も継続してデータを収集している
SAC分類に分けて大学、大学院、とインプラント教育をしている
E-ラーニングを行い、①3Dビデオでの繰り返し学習、②家にいながらの学習
③ソフトウェアにより、インプラント治療の記録を採取、データ蓄積

掘田先生
専門医、認証医の試験制度に関する解説
認定施設(大学)でのインプラント埋入本数は減っている
全会員数に対する専門医の割合は低い

質疑応答
大学と開業医のコミュニケーションはどうなっているのか?
研究に従事している人は臨床をしていない人もいるので、臨床を増やして
臨床→研究という道筋が必要ではないか?
インプラント教育のまとめ
スタンダードな部分を高品質にする、10年くらいかけてインプラント治療の治療レベルを上げていくことが重要である



また,現在最も注目されている「インプラント周囲炎の診断と治療」に関して,世界的権威である Dr. Schwarz (DGI President-elect)にドイツにおける現状を研究面と臨床例を通して解説していただきます.
Dr. Frank Scwartz
インプラント周囲炎の診断と具体的な対策


学習の目的:
出血・インプラント埋入されている → どのように対応するか?

■診断
インプラント粘膜炎
インプラント周囲炎
それ以外:炎症はないが骨欠損がある、→インプラント周囲炎ではない


■インプラント周囲炎のエビデンス
強いエビデンス:poor oral hygineなど


■7th European workshop
iatrogenic factors
インプラントの埋入位置:清掃しにくい→ガイドの有効性(私見)

■Non surgical treatment
メカニカルdebridement
Er YAGレーザー
Air abrasion 
aPDT photo dynamic theory
→ どれも完全に進行を止めることはできない?

■動物実験
新たな骨統合を目指す
○論文2007 Scwartz comparison/// infrabony pockets

○2012 Schwartz 
インプラントの全長の60-70%を超えると撤去する
理由:進行を止められないから

■手術
infrabony supracrestal
defect configration
bone filler
surface configration
method of surface contamination

■除染の方法
バイオフィルムをとるのは難しい
チタンブラシ
エアーアブレーションは効果高い、気腫の危険性
ERYAGレーザー、piezosurgery は良好
色々な方法があるが完全に取り除くのは困難→inactivation

■移植骨
移植在はBioOssが有効、チタンのparticleも研究中
nanocristaline HA(Bone ceramic?)より BioOssが有効
自家骨もこの場合は最善ではない
■裂開型の骨欠損への対処(最重要!)
頬側の裂開は望ましくない(治癒しにくい) 4壁性の骨欠損と比較して
1. Implantplasty 頬側:インプラント表面を滑沢にする
ダイアモンド+ホワイトポイントを使用
2.Augmentation 骨に囲まれたところ
NBM+CM  BioOss+ BioGuide(double layer)

■除染方法の効果
レーザーと コットンペレットの相違
→4年で相違はない: BOP
大切なのは骨欠損の形態を診断すること(CT)
1. 裂開状→Debridement+Implantplasty+Augmentation DIA method
2. 囲繞性→ Debridement + Augmentation DA method


○2013Salvi COIR
このプロトコールで良好な結果が得られた

■歯肉の退縮の問題
前歯部位ではどうする?
piezoで肉芽組織をとる
隣接面部のover augmentationはしない
バリアメンブレンの上に結合組織をおく

■結果
退縮0mm 10例、+1mm2例、-1mm 1例 →退縮がない!

■まとめ
臨床評価とレントゲン(CTで三次元的な骨形態)をみて診断
先ずは非外科
次に外科手術
1. 裂開状→Debridement+Implantplasty+Augmentation DIA method
2. 囲暁性→ Debridement + Augmentation DA method